各地を広範に移動し、詩歌を歌い語る「吟遊詩人」は古くから存在した。王侯貴族の系譜(けいふ)の語り部、戦場で兵士を鼓舞(こぶ)する楽師、権力者を揶揄(やゆ)する批評家、道化師、庶民の代弁者、ニュースを伝えるメディア、門付(かどづ)け芸人。吟遊詩人は、ときには畏怖(いふ)の対象とされ、ときには社会の縁(ふち)に追いやられてきた。
近年では、ポピュラー音楽界や消費社会、文化遺産保護運動とのつながりのなかで、芸能の様式や自身のイメージを変え生き延びてきた。吟遊詩人のパフォーマンスやそれらを成りたたせる物質文化を紹介するとともに、彼ら、彼女たちをはぐくんできた地域の人びとの息吹を伝える。 [公式サイトより]