藤山一郎(1911-1993 本名増永丈夫)は、幼稚舎から慶應義塾に学び、普通部時代に「若き血」の歌唱指導を担当して以来、生涯にわたって慶應義塾を彩る音楽に携わり続けました。本展では、その点に光を当てつつ、東京音楽学校(現東京藝術大学)で正統な歌唱法を修得して、あえて「世俗の歌」の世界に身を投じ、その一方で気品ある音楽文化の発展に奔走し続けた姿を跡付け、明るい歌声と、真摯で強靭な反骨精神で多面的な航跡を残す藤山一郎の再評価を試みます。