"夢見るキメラ"

この展覧会は、この世界の有り様を、同一個体の中に異なった遺伝的背景をもつ細胞が共存する「キメラ」と捉え、多様に枝分かれした世界の部分的、総合的な統合可能性、あるいは結合の可能性についてアートを通じて問うことで、新しい世界の扉を開こうとするものである。

3年前、2021年にHAGIWARA PROJECTSにて田中和人(soda)とイッタ・ヨダ(パリ在住のアーティスト・ユニット)、の共同キュレーションによって「Never the Same Ocean」が行われた。この展覧会では、ミューテーション、変異をキーワードにエラーと進化の関係性をアートと重ね合わせることで、多様に枝分かれしながら現在進行形で更新されていくアートの進化可能性を問うた。
2024年、再び田中和人とイッタ・ヨダの企画により「夢見るキメラ」を開催する。

キメラとは一般的に、生物学的に実在する存在や現象を表すが、展覧会「夢見るキメラ」ではキメラの概念は、実在(あるいは、現実)、不在(あるいは、夢)を行き来しながら、極限まで拡張されるだろう。
過去と現在、あるいは現実と夢、物質と精神、歴史と神話、進化と退化、存在と不在が結びつきながら共存するだろう。ここでは、矛盾が希望となるだろう。

現実と思われる世界を生きながら、私たちは、夢を見る。世界は結合を繰り返すほどに自由で不確かであり、私たちは常に可変的なキメラとなる。
目を閉じるたびに、世界が新しく更新される。
私たちは、更新される。
私たちは、夢見るキメラ。