目まぐるしく変貌する社会に対応し、 時代それぞれに理想の美神像を創り出してきた華麗なるファッションの世界。20世紀になると写真という新しいメディアが、その熱い流行をいち早く伝達する役割を担うことになりました。ここに誕生したファッション写真は、他部門の写真とは異なったベクトルで進化を遂げ、モードと社会と綿密に連動し、支え合う特別な関係を築き上げました。

本展は約120年におよぶファッション写真の歴史に写し出された人物と衣装の変遷と魅力を、当館の膨大なコレクションの中より「黎明期」「黄金期」「成熟期」「日本人作家」の4章に分け、アドルフ・G・ド・メイヤー、マン・レイ、セシル・ビートン、ロバート・メイプルソープ、 ヒロ、植田正治、奈良原一高、大石一男、篠山紀信、荒木経惟、都築響一など厳選した写真家約70名の200作品を紹介します。

同時に被写体となった世紀末のアール・ヌーヴォーやオートクチュールの世界で活躍したポール・ポワレ、ガブリエル・シャネル、クリスチャン・ディオールをはじめ、20世紀のファッション界で輝いたデザイナーたちの華麗なドレス作品約40点とあわせて、モードと写真の不可分な関係の再発見を促していきます。