1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。このとき、新聞やテレビ・ラジオは被災地のようすを伝え、自治体や支援者はラジオやパンフレットを通じて被災者に必要な情報を伝えました。そして被災した人たち自身が、みずからの経験を伝え、共有するため、さまざまなことに取り組みました。この展覧会は、震災後の被災、支援、復興にかかわることがらについて、人びとがどのように社会へ伝え、共有しようとしたのかを、1990年代の情報と通信のあり方から考えるものです。

展覧会のタイトルに用いられた「伝える・知らせる」には、ふたつの含意があります。

ひとつめは、震災当時、被害の状況や、生きるために必要な情報を同じ時代の人たちに伝え、知らせること。ふたつめは、震災の体験を記録し、次の世代へ伝え、知らせること。このふたつの視点から、震災後に人びとがどのように伝え、知らせようとしたのかを振り返ります。

また、この展覧会は、神戸大学大学院人文学研究科・文学部の学生や教員とともに準備を進めました。学生がそれぞれの視点から捉えた資料もあわせて展示します。震災を記録した資料に、現在の私たちがどのように向き合うかを考える機会ともなれば幸いです。