人間と風土を見つめた写真家・濱谷浩の生誕110年を記念し、その作品と人生を振り返る展覧会を開催します。濱谷は1915年(大正4年)、東京の下谷に生れました。15歳の時、父の友人から贈られたブローニー判ハンドカメラに夢中になり、写真で身を立てる道を模索します。1939年(昭和14年)、24歳の濱谷はフリーのカメラマンとして高田連隊スキー部隊の取材で新潟県高田市(現・新潟県上越市)を初めて訪れ、豪雪の光景に衝撃を受けます。民俗学的視点から雪国の暮らしを取材するとともに、越後の芸術家や著名人の肖像を撮影しました。1954年(昭和29年)から取材を開始した『裏日本』は、単なるノスタルジックな写真ではなく、フォト・ドキュメントの観点から地方をとりまく現状を鋭く切り取った作品として高く評価され、1960年(昭和35年)には、写真家集団「マグナム」のアジア人初の寄稿写真家となりました。晩年は世界に残された自然へと撮影対象を変え、氷河や山岳など、ダイナミックな大地の姿をカラーでとらえた作品へと展開していきました。この展覧会では、写真家としての一歩を当上越市から踏み出し、世界的に著名となった濱谷浩の作品を一堂に展覧します。