“Gathering”─「集める、引き寄せる」といった意味を持つこの単語は、吹きガラスの現場で「竿にガラスを巻きとる」ことをあらわす言葉でもあります。
1994年に開設された富山ガラス工房は、2024年で30周年を迎えました。工房はその長い歩みの中で制作体験などを通したガラス文化の普及事業、オリジナル色ガラスの開発を始めとした富山ガラスのブランディング、他分野の作家とのコラボレーションなど多様な取り組みを行っています。ガラスと様々なものをつなぎ、大きく成長してきたその姿は、色ガラスなどを巻き込みながら形を成していく竿先のガラスのように熱くエネルギーに満ちたものであったといえます。
工房にはこれまで100名を超える作家が所属し、その創造力あふれる若い才能が、富山ガラスの魅力を発信してきました。所属作家はスタッフとして過ごす日々を通して切磋琢磨し、その多くは工房を離れたのちも、ガラス作家として国内外で活躍しています。伝統的なガラス技法を修め、自らの作品へと昇華する者、新たな技法を開拓し独自の造形表現を目指す者、器を中心にクラフトの美学を突き詰める者…、一作家として彼らが制作する作品は実に多彩かつ豊かです。
本展では歴代所属作家の作品が一堂に会します。富山ガラスの可能性を切り開き、ガラス文化の裾野を内外に広げてきた工房の軌跡をたどるとともに、未来へと続く針路を展望します。[美術館サイトより]