中国を中心とする東アジアの儒教世界において、子が親に孝養(こうよう)を尽くす孝子(こうし)・孝女(こうじょ)の説話は一般に流布し、絵画化も早くから行われました。長い年月を経て伝えられてきた様々な孝子説話は、中国・元時代に24の物語とその図が版本として再編纂(へんさん)されました。日本では室町時代以降にこのような版本を中心に二十四孝図が広まったと考えられ、特に室町時代後期から桃山時代にかけて画壇を牽引していった狩野派による障壁画や扇面画の優品が残されています。本展覧会は、日本の二十四孝図の受容の実態と変容の在り方に着目した初めての展覧会です。儒教思想を示す勧戒画(かんかいが)の一つとしてばかり捉えられてきた二十四孝図の、これまであまり知られてこなかった亡き親への追慕(ついぼ)、追善(ついぜん)という性格を、狩野派の作品を中心に解き明かします。[美術館サイトより]