岡山県笠岡市出身の小野竹喬(1889—1979)は、近代を代表する日本画家のひとりです。明治36(1903)年に14歳で京都に上り竹内栖鳳に師事して以降、昭和54(1979)年に89歳で死去するまでの75年間にわたり、日本のみずみずしい自然を描き続けました。季節の移ろいの中で目にするささやかな自然の表情を温かい眼差しで素直に捉え、鮮やかかつ明快に表現しています。また後半生の作品では、夕焼けの茜空を題材に刻々と変化する空や雲の様相を詩情溢れる色彩で柔和に表現。こうした生涯にわたる画業が評価され、昭和51(1976)年に文化勲章を受章しました。 本展覧会では、笠岡市立竹喬美術館が所蔵する名品の数々により、竹喬が生涯を通して追い求めた自然表現の精華をご紹介します。