このたび、hakari contemporaryでは、林田真季による個展「Silent Echoes of the Cedar」を開催いたします。林田はこれまで、さまざまな社会的課題をリサーチし、主に写真を媒体とした独自のインスタレーションを展開してきました。本展では、広く「森林問題」としてグローバルに扱われる環境課題に焦点を当て、その本質が国や地域によって異なるという視点を、新作の写真インスタレーションを通して提起します。

新作インスタレーションでは、グローバルな森林問題とは方向性の異なる、利用されない人工林における生物多様性の喪失を背景に、日本で最も多く植林されているスギに焦点を当てます。スギから抽出した現像液で現像・プリントを行うという技法を取り入れながら、林田は活用されない人工林の現状に対し、写真作家の視点から向き合うことに挑戦します。

本展は、人による自然への介入とその意図せざる結果、そして本質的に多義性を内包する社会問題を一様に扱うことの危険性を示唆しています。環境課題をはじめ、倫理や道徳的価値観までもがグローバリゼーションされる現代を生きる我々が、目の前の事実を改めてローカライズし、再考する機会となる本展をぜひご高覧下さい。