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見えるものと見えざるもの——発掘された遺物と記録された写真
  これは真実か、それとも、時を超えて現れた物語か。

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作家25周年を迎えた伊賀美和子は、10年ぶりになる東京での個展「the Seen and the Unseen ー秘密の遺物ー」を開催いたします。

伊賀は1999年キヤノン写真新世紀展での受賞以来、一貫して玩具、それも人形を主たる被写体に多彩な表現を展開してきた。そのなかで《マダム・キューカンバ》という自己投影をした小さな人形を主人公にした物語を写真で表現してきた。本展では、古代文明の発掘品として《マダム・キューカンバ》が登場する。

伊賀は、幼少時代から人形に魅了され、人形を通して人間の〝生命の本質〟や〝繋がり〟を表現しようと模索してきた。今まではプラスチックの素材を用い、過去と現在をつなぐシンボルとして《マダム・キューカンバ》を用いた人生の場面を、写真媒体を通して物語を作ってきた。しかし近年、「古代の人間はどのような祈りをこめて人形を作ったのだろうか?」という疑問を抱き続けていた。

過去と現在を繋ぎ、人々に再生の可能性を語りかけようとしている新作は、古代の人形が時を越えて新たな命を与えられたようでもある。物語の中で巡り巡る生命の循環を表現した《マダム・キューカンバ》シリーズは、こうして新たな一歩を踏み出したのである。かつての登場人物たちが、古代の姿にタイムスリップしたかのようである。2000年より続いた《マダム・キューカンバ》の地平線は、この時代に辿り着いた。「これは真実か、物語か」作家が生み出すナラティブ(物語性)な世界に引き込まれるでしょう。発見とは何か、歴史とは何か、美術とは何か、いろいろな疑問が浮かんで来るだろう。是非、ご高覧ください。

【追記】作品キャプションは、作品と作家のメモから AI が解説をしたものであり、AI との協奏(狂奏)もお楽しみください。