狛犬や龍などの神獣を描く現代アーティスト小松美羽(1984- )。
独自の死生観を繊細な線でとらえた銅版画からキャリアを開始した小松は、現代アートの最前線であったニューヨークでの体験を経て、やがて大型の絵画制作へと移行します。以降、小松は祈り、制作することを真摯に問い続けてきました。作品は大英博物館をはじめ国内外の美術館で収蔵され、近年では立体作品やパブリック・アートの制作と、その活動はますます拡張しています。
「神獣たちは、祈り祈られ祈る我々を見守っている。多くの国を旅しながら感じたのは、文化や言葉が異なっていたとしても共通に存在する祈りという形に、私の霊性は何度も突き動かされ続け、創造へと導かれている」——小松は「霊性」という視点から、宇宙や精神世界を含む森羅万象に宿る力を顕現させ、調和させることを試みます。価値観が多様化し社会が一層流動性を増す現代において、小松が紡ぎ出す〈祈りのかたち〉は、より切実さをもって捉え直すことができるでしょう。
本展では小松の代名詞である神獣を核に、各地の民話や伝説を図像化した連作、独自の宇宙観による大型作品、そして北海道の風土から想を得た新作をふくむ約70点を展観します。[公式サイトより]