石川総一郎は、「絵画という視覚情報の媒体に、さまざまな感覚を詰め込んで完成させること」を近年の大きなテーマとしています。
取材で各所へ赴いた際に肌で感じた空気や温度、匂い、音など五感で体感した経験をいかに絵の中で表現できるかに重点を置き、それに伴う困難に向き合い試行錯誤を繰りかえしながら制作を続けてきました。

山形県の出身の作家は、自身が小さい頃より慣れ親しんだ「海」を原風景の印象として強く持ち、その風景を描き続けています。
本展ではこれまでより取材地を拡大し、地元の山形、北海道、富山を軸に描いた作品を発表いたします。合わせて、これまでに描いた沖縄や東京湾沿いの風景も登場します。また、描く場所の違いだけではなく、その時々で表情を変える季節や天候を表現することに挑戦し、雨や雪の風景も描きました。 作家が近年の集大成と語る本展を是非ご高覧下さい。