私の表現は、人間性、潜在意識の狭間にあるものに焦点を当てている。
人間も、自然も、世界にあるものを全て、絶えず変化し続ける。変化し続けても、結局は全て繋がっている。言葉では表現できない感情をガラスの透明感で繋げていく。
ガラスは無機質な元素で構成されているが、狭間に想いを繋げば有機質な存在になると私は想う。
ガラスならではの光と影、隂と陽、そしてその釣り合いを大切に造形している。
忘れてしまった泡沫の記憶を思い出すかのように、その予兆が訪れる事を願う。― May Masutani


シンガポール生まれ、現在は富山県を拠点に活動するマスタニ メイは、バーナーワークによる繊細な構造体を主軸としたガラス作品を制作しています。
グラフィックデザインを学んだのち、富山ガラス造形研究所で本格的に技術を修めました。
透明なガラスのパーツを一つずつ手作業で繋ぎ合わせ、感情や記憶、事物や人間の関係性といった、目には見えにくい無形とされるものを、ガラスを用いて作られた線やかたち、光を通して立ち上げています。
小さなリングや鎖状に組み立てられたガラスの集合体は、その透明度とかたちをもって空間に呼吸のリズムを与え、“あいまいだが確かな感覚”を静かに強くすくいあげます。
展覧会のタイトルとして題された「Passage in Time」は、作品に内在する微細な振動と、万物に漂う境界のゆらぎに由来します。
マスタニが施すガラスの連なりによって立ち現れる有機的なゆらぎが、hide galleryの空間に独自の緊張と静けさをもたらします。この機会にぜひご高覧ください。