絵画の創作にはさまざまな題材が選ばれます。目の前に広がる壮大な風景や、水差しに生けた一輪の花、憂いを帯びた人の姿など画家の心を動かした対象がもとになって新たな絵画世界が築かれます。
こうした中にあって、ものがたりを題材にした絵画の歴史は古く、重要なジャンルであり続けました。神々の世界を扱ったギリシャ神話や古事記など、あるいは聖書や寺社の縁起のものがたりや、さらには民間説話を含む歴史や文学の数々は、がかたちの霊感を呼び起こす源泉のひとつとなり得ました。
ものがたりないは時間の流れがありますが、それを絵画で表現するために画家は効果的な画面を切り取り、独自の解釈と工夫を凝らしてきました。それらの絵画は時間の流れを感じさせるだけでなく、ものがたりの魅力を高め、鑑賞する私たちの想像を広げてくれます。
今回の展覧会は、サイトウミュージアムのコレクションより、ものがたりに着想を得た絵画や、ものがたりを想像させる作品をお楽しみいただきます。

会期中のイベント
◎学藝員によるミュージアム・トーク
7月27日(日)、9月6日(土)
いずれも午後2時から約30分、事前申込不要
◎学藝員によるスライド・トーク
展示室にて絵画のよもやま話に花を咲かせます。毎回異なる内容となります。
8月10日(日) 第17回 こわい浮世絵
10月4日(土) 第18回博物館学概論4(展覧会の企画)