本展は、1982年、建築家・槇文彦の発案のもとに、「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」展と題した展覧会とその雑誌上での発表という形でスタートしました。その特徴は、建築家・デザイナーたちの「実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの」という条件で作品を公募し、厳正なる書類審査を経て、選ばれた入選作を展覧に供す、というまったく新しい形式にありました。当初から、若手建築家の登竜門的な意味を持つコンペとしても注目されてきました。
本学における10回目の開催となる本展では、4人の審査員が選んだ12組の作品を展示し、あわせて各組へのインタビュー映像を上映します。また、審査員と入選者が語りあう公開プレゼンテーションも開催します。
40年を超える歴史を持つこの「SDレビュー展」を本学で開催することは、京都で学ぶ多くの建築学生たちに、現役の建築家たちが「実現を前提とする」作品をとおして建築にどう向き合っているのかを見せる場として、良い刺激を与えることにもなるでしょう。また、関西の建築関係者も、同時代の建築家の最前線の仕事に触発されるかもしれません。そして、建築に関心を寄せる一般の人々には、建築家のみずみずしい構想力が新鮮に映るに違いありません。本展が広く建築文化の現在を伝える貴重な機会になることを願っています。