長谷川等伯(1539~1610)は能登七尾出身で、桃山時代に京都で活躍した日本を代表する画家です。20歳代には絵仏師として能登で活躍、30歳代には活動の舞台を京都へ移し、長谷川一派を率いて狩野派に対抗し、豊臣秀吉の御用や大寺院の障壁画制作などを手掛けて活躍しました。
 石川県七尾美術館は、等伯出身地の美術館として開館の翌年から毎年「長谷川等伯展」をシリーズで開催しています。平成17年の開館10周年「国宝・松林図屏風 長谷川等伯展」では、約6万人都市で約5万7,000人の観覧者を記録しました。
 それから20年、今年度開館30周年を迎えます。ふたたび、日本水墨画の最高傑作・国宝「松林図屏風」の公開に向け、所蔵先の東京国立博物館をはじめ寺院などからご内諾をいただいていたところ、能登半島地震に見舞われました。いつ開館できるか予測できない状況下でしたが、多くの関係者から励ましの言葉をいただきました。
 そこで、一部予定の作品を変更し、大地震の中で奇跡的に救出された作品や被災寺院所蔵の能登時代作品を加え、《能登時代の長谷川等伯》《松林図を中心とする水墨画の表現》《晩年水墨画への展開》の3テーマで19点を公開します。全国から多くの人が能登に訪れ、また、少しでも能登の人々に元気と感動を届けられたら幸いです。能登を愛した等伯も、きっと喜んでくれることでしょう。