いまふく ふみよによるインスタレーション作品を展示いたします。

●作家コメント
直線的に伸びる時間軸だけではなく、春夏秋冬などのように回帰する時間軸があると思います。そういう時間軸を意識して暮らしたいと考えています。今回、二つの作品を使ってインスタレーションをします。一点は2014年制作の作品は寿ビルディングにあったギャラリーギャラリーの個展のために化学染料で染めた型染の作品です。もう一点は昨年、学園前アートフェスタで大和文華館文華ホールでのインスタレーションのために、10年前制作した同じ型紙を使って、植物染料で再制作した作品です。最近の制作は、自然の染料で染色した生地でインスタレーションをする仕事を試みています。どちらの作品も、文化財で指定されている古い建物です。寿ビルディングは1927年に建設された登録有形文化財の建物です。
生地は後ろにある窓の光と一緒に空間を創ります。そこで過去に起こった出来事や人、モノなど目に見えない建物そのものが持つ場所の記憶を表現したいと思いました。何度も季節が巡り、植物が長い時間をかけて建物を覆っていく時間の流れを蔦で表しています。この二つのインスタレーションは、二つの異なる場所の記憶を振り返りながら「回帰する時間(とき)」を思考する試みです。このタイトルは2000年からこの作品タイトルを繰り返し使用しています。初めてこのタイトルを使用した時から25年経ち、今では、「回帰する時間(とき)」という言葉は、出典から離れ、自分の作品の中で理解、思考を繰り返されています。そのような時を慈しむ生き方や作品制作がしたいという私の憧れであり、目標であるように感じます。