福西数身展 -空間と時間-を開催いたします。
●作家コメント
何気なくフリーソフトのAIを用いて一枚の絵画を試作してみた。
だが、AIが描き出した作品は、私の意図する仕上がりとはかけ離れていた。そういえば、数年前に雑誌で目にした、AIが描いたニューヨークでの個展記事を思い出す。その技術の進化には驚嘆したが、同時に時代の変革期を強く感じたものだ。結局のところ、自分の思い描く絵をAIに描かせるには、自らプログラムを組むしかないのだろうか・・・・。
ならば、この混沌とした時代に、あえて最も古い手法である手描きで絵を描くことの意味とは何だろう。そもそも、絵画とは何なのだろうか……。
ふと、遠い幼少期が蘇る。塗り絵に夢中になり、色鉛筆や絵具に触れるたびに心が躍り、ただただ純粋に楽しかった。あの時、素直に湧き上がった心の喜びを、そのまま絵に表現したいと、長年願い続けてきた。
先日、ラジオから流れてきた新人作家の小説紹介に耳を傾けた。毎日、気絶するほど疲れ果て、眠りに落ちるような日々の中で、その夜も半ば意識が朦朧としていた私を、ラジオから響く小説の朗読に突然、目が覚めた。それは、まるで音楽が持つような “バイブス”が宿る韻を踏む文章だった。翌日の昼休み、職場近くの書店へ急いだものの、店頭には見当たらず、すぐに注文した。そして翌日、手にしたその小説は、想像以上に難解な文章で、見慣れない単語が幾度となく現れた。そこで、私もとりあえず “バイブス調” で読み進めてみることにした。理由はわからないが、「面白い。おもろい。おも……」と、言葉にならない思考が頭の中を駆け巡った。

今回の個展が開催できたのは、本当に多くの方々のご協力があったからです。なかなか重い腰が上がらなかった私を、関係者の方々が後押ししてくださいました。
何十年もの時を経て再び私の今の想いや息遣いを、一瞬でも感じ取っていただけるのではないかと願っております。どうぞ作品をご高覧いただければ幸いです。