風呂敷で包んだ大きな行李を背負い、もくもくと歩いた江戸時代の売薬人。
荷物とともに汽車に乗り、遠くの町を訪ねた明治、大正時代の売薬人。
夜明け前、くすりを積んだ自転車にまたがり行商へ出発した昭和時代の売薬人。

江戸時代、対馬藩宗氏の支配下に置かれた田代領で興った『田代売薬』は、くすりを作り、得意のもとへと届ける配置売薬である。そして明治時代以降、医薬に関する法の整備や交通網の充実と発展によって行商圏は拡大、彼らは多くの時間を行商の“旅”に費やすようになった。
売薬人たちが語った思い出と道具から見えてくる“旅”の全貌。
何を持ち、どこへ向かい、誰に出会い、何が起こったか。クエスト-大冒険-さながらの彼らの旅を、“旅の相棒”とともにふりかえる。