「さわる手の物語」において、宮本ルリ子は“触れる”という単純な行為を、言語・記憶・感覚をめぐる旅へと変容させます。

2021年に国立民族学博物館で発表した《思考から感覚へ、そして手…》では、点字を取り入れ、言語体系であると同時に身体へ直接語りかける触覚的なメディアとしての二重の役割を探求しました。本展ではその試みをさらに発展させています。
点字のイメージは本の形式と結びつき、観客の手による触れ合いを通してはじめて完成します。そこから、目には見えない情報や感情的な物語が立ち現れてきます。

また会期中には、来場者の手を撮影し、希望者のコメントと共に記録します。これらはアーカイブとしてのZINEにまとめられ、作品と観客との生きた関わりを伝えるものとなります。