今展は、浅野井春奈、石川直也、鈴木温、広瀬里美の4名の彫刻家による、人が 「人」を作ろうとする起点や動機を探ることを目的とした作品展です。

浅野井は木彫により、日々の中で感じた事柄や自身の思い出から連想し、そこか ら感じたことを元に制作しています。今展では近年取り組んでいる、合板を用いたシ リーズを中心に都市の群像をテーマとした作品を展示いたします。

石川は主に石彫において、「自立しない人」という、何かに支えられて初めて立 つことができる人体彫刻を制作しています。今展では「自立しない人」シリーズの最 新作と、油彩画を発表いたします。

鈴木は、主に木彫により人物彫刻を制作しています。代表作である頭髪が貝殻に なっている作品群は、顔だけでは知り得ない、生きてきた時間や人柄、思考の蓄積 を表現します。今展ではその代表作に加え、上手く怒れない人のための怒り面を発表いたします。

広瀬は、粘土の焼成による作品を発表しており、この社会に生きる一人の人間として「人」を見つめ、常に変容しながら、あらゆる形態の作品を制作しています。今展では、人と空をモチーフとした作品を発表いたします。

「人」を作る時、それは「人」の何を作っているのでしょうか。「人体」なのでしょうか。「誰か」なのでしょうか。それとも「人」の形をした別の何かなのでしょうか。この時代を生きる人として、この社会に生きる人間として、何をきっかけ に、なぜ「人」を作るのでしょうか。作品制作および鑑賞による実践と考察、そし て10/12(土)に開催するオープニングトーク「交差点 #5:この広いプールの中で」を 通して紐解いていければと思います。