創世記に記された「バベルの塔」の物語をご存じですか? 人々はみな同じ言語を話し結束して天まで届く塔を作ろうとしていましたが、神がそれを知り人々の言語を乱した結果、塔は完成を見ませんでした。これにより人間は共通言語を失いましたが、そこから再出発し現在のような多言語が共存する世界に至ります。その意味で、この物語には終焉と始源の両義性が示されているとも言われます。16世紀の画家ピーテル・ブリューゲルの絵画に描かれた、らせん状の巨大な塔をイメージする人も多いでしょう。
さて、原倫太郎と原游は、らせん構造を持つ当館の建築をこのバベルの塔に見立て、その内部空間を想像しました。館の各階層に広がる非現実的な世界では、直立して作品に対峙するだけでなく、歩き、登り、寝そべり、積み上げ、崩す……という“行為”が重要です。子どもの頃の遊びのように、行為を通じて感覚の新たな回路が生み出されるような体験が待っていることでしょう。
加えて、本展では太田市立中央小学校との連携事業を実施します。[美術館サイトより]