太宰府天満宮では、平成18年(2006)から続けてきたアートプログラムの第12回展として、スーザン・フィリップスによる個展「Shine on Me」を開催します。
フィリップスは、歴史や記憶を宿す土地や公共空間において、人と場所を音でつなぐサウンドインスタレーションを世界各地で発表してきました。2024年から2度にわたり太宰府を訪れた彼女は、1100年を超えて信仰と文化を育んできた当宮の森、神事、そして御祭神・菅原道真公の生涯と詩歌に触発された新しい作品を制作しました。
この度、境内の森に常設される《The Trees Listen》は、8つの法螺貝の音を用いた作品です。森や風のイメージを響かせながら、道真公が左遷の地で詩を詠んだ心境とも重なり、音と沈黙が織りなす気配を感じさせます。宝物殿に展示される《Shine on Me》は、「サウンドミラー」として知られる初期の音響探知装置に着想を得た作品です。3つのパラボラ状の鏡が宙に浮かぶように吊り下げられ、回転しながら、太宰府天満宮の七夕祭に取材した音の断片を響かせます。音と光が呼応して、静謐な空間をつくり出します。
本展を通じて、太宰府の森と呼応する音の世界に触れ、時を超えた感覚の旅を体験していただければ幸いです。