人形浄瑠璃文楽を身近に親しめる機会にと、毎年大阪で催されている「中之島文楽」において、谷原菜摘子が、昨年と今年の公演で美術を担当しました。舞台演出にプロジェクションマッピングが取り入れられ、谷原の描いた江戸の人物や街並み、藤や桜の木、天神の森、極楽などが、物語の場面に合わせて投影されました。

昨年は四季で分けられた4つの演目、そして今年は「曽根崎心中」が上演され、谷原が以前から挑戦したかったテーマの一つである「心中」を描く機会となりました。



かつて、心中したものは地獄に行くと説かれ、生き残っても死罪、あるいは社会から追放された時代があった。それでも恋人たちは2人だけの浄土を信じ、暗闇に身を委ねた。 愛という根源的な生の発露と、死に至る道の矛盾。その痕跡を私は筆で追ったのである。

—谷原菜摘子



本展では、これら「中之島文楽」のために描いた原画をまとめて展示するとともに、「心中」をテーマにした大型の新作も発表いたします。