岡本里栄による絵画展を開催いたします。

◉作家コメント
完全にわけられているわけではないけれど、境目があってわかれているような、曖昧で断定できないそのあたり。そのような境界のあり方をモチーフにも作品そのものにもみいだそうとして絵を描いてきました。世界はわかりやすくはっきりとはわかれていない。こっちの時もあればあっちの時もある。あっちこっち行ったり来たりするうちに、また違うところにきたり。

誰かが着ていた衣服や誰かが使っていたハンカチや布は、この曖昧で断定できない存在として描いています。ただそこにいること。当たり前のようで、難しいことのように感じています。排外的な言説が巷に溢れ、誰かの尊厳を侵すことにためらいを感じない空気が急速に広がっているこの世界で、ただそこにいることは容易ではありません。

誰かにとっては取るに足らない布切れでも、それでもただそこにいる存在として描き出していくことを続けていきたいと思います。