陳漢聲と劉星佑から成る台湾のアートユニット「走路草農藝團」は、8月から11月にかけて「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ2025」の招聘作家として、津奈木町や近隣地域を中心とした熊本の風土や信仰、生態系と人の営みなどについてリサーチを重ね、新たな制作に取り組みました。台湾の半導体企業の進出により、従来の農業と最新テクノロジー産業の共生を模索する熊本の現況は、すでに両者が交錯し、経済的に発展しながらもさまざまな課題を抱える陳と劉の故郷であり活動の拠点でもある高雄の状況と重なりました。急速な社会の変化にともない、国境を越えた経験と英知が求められる中、陳と劉が津奈木町で生み出した数々の作品は、限られた資源の分配、伝統的な信仰や価値観の変容、不可逆的な生態系の喪失といったテーマに私たちがどのように向き合うべきかをユーモアを交えながら静かに問いかけます。「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ2025」の成果展である本展は、「走路草農藝團」としての作品展、陳の個展、劉の個展の三部構成となっており、いずれも津奈木町滞在中に制作した新作を展示します。[美術館サイトより]