東京都現代美術館は、今年2025年に開館30周年を迎えました。当館のコレクションは、戦後美術を中心に、近代から現代にいたる約6,000点に及びます。本展ではその中から新収蔵を軸に、作家たちの活動に光をあてる2つの展示で構成します。
1階では「マルチプル_セルフ・ポートレイト」と題し、誰もが知る名画や、歴史、日常生活を介して描き出される、複数の自己をめぐるイメージを多角的に展覧します。収蔵作家の森村泰昌、さらに架空の画家に擬態して制作するユアサエボシ、変顔などの自画像をコミュニケーションツールと捉えて描く松井えり菜の3名は、借用作品も交えて特別に構成します(ユアサ、松井は新収蔵作品を初展示)。またミヤギフトシ、横山裕一、開発好明、豊嶋康子、郭徳俊、アンディ・ウォーホルら多様な作家による作品を一堂に展示します。

3階は特集展示「中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー」として、中西夏之と池内晶子の作品世界を紹介します。当館で初の日本人作家として個展を開催した中西と、絹糸を用いたインスタレーションで知られる池内は、ともに「今ここ」にある自身の身体を起点としつつ、その外側に広がる世界を示唆する広がりを持つ作品を手がけてきました。両者の新収蔵作品に加え、池内による現地制作も交えて、それぞれの作品が響き合う空間を体験していただきます。