イワタルリは、日本の現代ガラスを代表する作家の一人です。1951年に東京で生まれ、祖父が日本のガラス工芸の先駆者である岩田藤七、父・久利と母・糸子もガラス作家という環境で育ちました。ガラス専攻がまだなかった東京藝術大学および大学院で鋳金を学び、大学院修了後はガラス造形家としての道を歩み始めます。
イワタルリの作品は、ガラスがそこに「在る」という存在感を大切にし、素材の特性や可能性を追究したものです。大きく二つのタイプに分けることができ、「立体作品」「工芸作品」と称されています。立体作品は、キャスト(鋳造)の技法による淡い緑色を帯びたガラスと、黒い鉄などの異素材とを組み合わせたものです。無駄を削ぎ落したガラスの塊は、力強く静謐な空間を生み出し、ガラスという素材が持つ可能性を示しています。工芸作品は宙吹きの技法を用いて作られ、自在な形と透明あるいは赤や黒といった鮮やかな色の肉厚の器で、豊かな量感がしなやかに空間と調和します。本展では、そうした創作の両面からイワタ芸術の造形世界の魅力を探ります。[美術館サイトより]