この度 HAGIWARA PROJECTS では、1月10日(土)より3名の若手作家による展覧会「ゆめかみず」を開催いたします。本展では、言葉だけでは伝えきれないことや、目に見えるかたちだけでは捉えきれない情景や感情、そして記憶がもつ豊かさがどのように立ち上がってくるのかを、3名の作家がそれぞれ異なるメディウムと制作方法を通して探ります。

五十嵐愛実は、シルクスクリーンを中心とした再複製のプロセスを軸に、紙のみならず家具や陶器、ガラスといった多様な素材を支持体として用い、イメージの在り方を探究しています。システムやルールといった枠組みの中で生じるリアルとフィクションのあいまいさを一度“固定しなおす”ように作品へ置き換えることで、その揺らぎから新たな視点や解釈の豊かさを引き出します。

永田茉那は、記憶の中で揺れ動く風景を作品として再構築します。日々書き留めているスケッチやメモを起点とし、ドローイングやコラージュを組み合わせながら独自の世界を形づくります。記憶の輪郭が徐々に立ち上がっていく過程そのものを可視化することで、鑑賞者自身の記憶とも響き合い、曖昧に揺らぐ風景が浮かび上がります。

夏山大成は、言葉にしないことで立ち上がる感覚に向き合い、余白や絵画空間がもつ力を丁寧に探ります。説明しようとするほど対象から遠ざかってしまうという自身の実感を手がかりに、絵画が内包する普遍性をすくい上げようと試みます。夏山の描く画面は、静けさをまといながらも豊かな含みをもち、見る人の記憶や解釈を引き寄せ、静かに留まらせる空間として働きかけます。



《作家略歴》
五十嵐 愛実 (Manami Igarashi)
1999年埼玉県生まれ。2022年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。東京藝術大学大学院油画専攻在籍。近年の個展に、「暗転する眼差し、運命のサンプル」ターナーギャラリー4F (2024, 東京)、「ひるがえる窓 / Fluttering Windows」えん川 (2024, 東京)など。近年のグループ展に、「Two Steps to the Lamp-lit Cellar」YUGA Gallery (2025, 東京)、「cozy corner」東京藝術大学芸術祭 (2025, 東京)、「U.F.F.U」EUKARYOTE (2025, 東京)など。

永田 茉那 (Mana Nagata)
2000年静岡県生まれ。2024年武蔵野美術大学造形学部油絵科油絵専攻卒業。主な展示に、「“New Platform -Alternative Asia-” presented by SODA」Art Center New (2025, 横浜)、「嘘の切り身」小金井アートスポット シャトー2F (2024, 東京)、「同じ地域の川」アートセンターオンゴーイング (2023, 東京)、「代理の郷愁」武蔵美FAL公募企画展 (2022, 東京)など。

夏山 大成 (Hironari Natsuyama)
1997年愛媛県生まれ。2025年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。主な展示に、「アートアワードトーキョー丸の内」東京駅行幸地下ギャラリー (2025, 東京)、「安心とおどろき」スペースあや (2025, 東京)、「short short」 YUGA Gallery (2023, 東京)など。