このたび最上川美術館では、横山大介の個展「ひとりでできない」を開催いたします。

横山は、自身の吃音によって、意志とは関係なく寸断されてしまうことの多い会話でのコミュニケーションに違和感を覚え、写真機を介した撮影行為そのものを、会話に代わる重要なコミュニケーションと位置づけ、他者を撮影した写真作品を発表してきました。
また近年は、自身の身体から切り離した「吃音」を、打楽器の演奏へと変換し、さらに他者から手ほどきを受け、再び自らの身体に取り込みアウトプットするパフォーマンスの映像作品〈言葉に触れる身体のためのエチュード〉シリーズを発表しています。

今回展示するシリーズ〈ひとりでできない〉は、なにかしらの縁ができた土地に通い、その土地で出会った人々を撮影し、展示する作品です。これまで香川県豊島、北海道東川町、奈良県天理市で撮影と発表を行ってきました。本展では、現住地の大阪から山形へと通い、村山市を中心に出会った人々を撮影した新作で構成されています。

展覧会タイトルの「ひとりでできない」は、「会話することも他者の写真を撮ることもひとりでできない」と横山が語るように、写真を撮る行為は他者との関係の中でしか成立しないことを示すと同時に、私たち自身が他者との関係や場所とのかかわりによって形づくられていることをそっと指し示しています。

[関連イベント] アーティストトーク
日時:2026年2月14日(土) 午後2時から
出演者:横山大介(本展作家)  ゲスト:小金沢智(キュレーター/東北芸術工科大学准教授)