着物や絵画では、文様(モチーフ)を組み合わせることで特定のイメージを表すことがあります。それら組み合わされたモチーフは、作品から思い浮かべる光景や印象、願いといったイメージを他者と共有する手段として親しまれてきました。少ない情報で豊かなイメージを伝えるために培われた、いわば美の表現の方程式です。

「松竹梅」や「波に鶴」など、現代のわたしたちはその“方程式”の結果だけを目にしているともいえます。本展では、千總の所蔵品から「梅」「鶴」「月」が登場する作品を取り上げます。モチーフを一度分解し、再び組み合わせることで、その関係性が生み出すイメージを探ります。
豊かなモチーフの世界をお楽しみください。