本展では長野県にゆかりのある4名の現代アーティストを招き、展示室や回廊で独自の空間を演出します。淺井真至は、見えないものを掴み取るかのように淡い色彩で抽象的な形、文様やキャラクターを描き続けます。平良光子は生き物を自身の世界の中心に据え、聖書や詩などから着想を得た物語の一場面を、深い祈りの表情を持つ動物彫刻で表現します。平田尚也は、インターネットに漂う画像や3Dデータなどの素材を寄せ集め、AIを用いて、彫刻や映像作品を制作します。宮内由梨はからだの感覚、とりわけ「かゆみ」を起点とした皮膚感覚や内臓感覚に焦点を当てています。
物理的には触れられない作品が私たちの記憶となって循環していくように、この鑑賞体験が、共通認識や共感とも言い難い、漠然とした“気づき”や、自身の奥底にある人間本来の知覚や感情を見出すきっかけとなれば幸いです。