ISSEY MIYAKE KYOTOのKURAではKURA展「100 FLŌRA by Kenta Umemoto」を開催します。

パリを拠点に活動する写真家・梅本健太氏は、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEとともに「TYPE-VIII Kenta Umemoto project」を2024年に発表しました。梅本氏が撮り下ろした花々「FLŌRA」シリーズは、生命力あふれる花々の像と偶発的な造形が重なり合う衣服へと展開されました。
本展で紹介する「100 FLŌRA」は、その探究をさらに押し広げた写真プリントシリーズです。プリント技法を深く掘り下げることで、花の像には新たな表情と奥行きが与えられました。
展示空間を満たす100点の作品は、インクジェットプリンターによって制作されています。微細なインク粒子を紙表面に噴霧し、通常の色彩表現と鏡面反射の融合によって像を形成する仕組みを、梅本氏は「複製装置」ではなく「描画の道具」として扱いました。なかでも特筆すべきは、銀のピグメント（顔料）の使用です。黒を基層としながらカラーでプリントされた花の像に、光のわずかな変化や金属光沢を帯びた質感、銀特有の粒状感が立ち現れます。
銀のピグメントは空気中の酸素や湿度等に反応し、わずかな変色や濃度変化を引き起こします。梅本氏はこの現象を、媒質が時間とともに更新され続ける「銀化」と位置づけました。この銀化によって、作品の表層は静的な定着を前提とせず、鑑賞する時点によって異なる表情を示します。
プロセス全体が作品を最大化するという信条のもと制作された「100 FLŌRA」。積層する時間とともに変化し続ける、銀花の像をぜひご覧ください。