この度、iwao galleryにて[土に還る -「そこにある」ものたちの声-]村越 慧 写真展を開催いたします。
コロナ禍に栃木県益子町へ移住した写真家・村越 慧は、卵や羊羹といった身近なものを被写体に、カメラによる視点の可能性を探るobjetシリーズを発表してきました。《ものを見る視点》を制作の軸とする村越の作品は、誰もがよく知る単純な形を前にしながらも、写し出された像を通してものの存在そのものにあらためて向き合う体験を促します。
情報過多な現代において、写真でさえも騒がしく感じられることがあります。そのような状況のなかで、村越の作品は説明を最小限にとどめ、物静かな佇まいをもった〝物の在り方〟の潔さが際立っています。本展では、益子に拠点を移したことにより、他者の視点を通して被写体と向き合い、汎用されてきたものが個人的な存在へと移行していく様子が写し出されています。レンズの奥に浮かび上がるのは、時間の流れや、そこに刻まれた記憶の連なりです。
「時代を超え、知らない場所で、人から人へと継がれている。人がものに何を語りかけ、そこにあるものたちはどう語り返すのか。」
村越はレンズを通してそっと耳を傾けます。鑑賞者もまた、静かに五感を研ぎ澄ませながら写真と向き合うことになるでしょう。是非、この機会にご高覧ください。