本展では、松平の作品を通じて、無限に展開する風景の中に鑑賞者をいざないます。

このたび松平は、着物の模様構成に着想を得た新作を本展のために制作しました。
着物のリピート模様において、繰り返しのパターンはモチーフの天地を定めずにデザインされます。松平はその発想を取り入れ、風景の天地が複雑に、しかし自然に入り混じる画面を生み出しました。
さらに、パターンが上下左右につながる「四方送り」の手法を取り入れた2枚組の作品も制作しています。上下にも左右にも配置でき、また位置を入れ替えても風景がつながって画面として成立します。

いずれの模様構成においても、単一のモチーフではなく絵模様をリピートさせるには高度な技術と景色をつなぐ意識が求められます。松平はその技術と意識を画面の中で軽やかに束ね、風景に新たな広がりをもたらしています。それは上下や四方への展開を超えて、空間の奥行きをも内包します。

これらの作品と向き合うときに私たちが覚えるのは、画面という制約から解き放たれて続いていく空間を俯瞰するような、あるいは内部に引き込まれるような感覚です。
この果てなく広がり続ける風景の気配を、ぜひ会場で体感してください。