西新宿のヒルトン東京 地下1階に位置するフジギャラリー新宿では、2026年3月14日(土)より4月26日(日)まで、島田由子による展覧会「手描き壁紙 — blossoms: 壁という場のための絵画」を開催いたします。

本展の中心となるのは、春の到来を象徴する桜を描いた大画面の作品です。壁紙を支持体とし、満開の花々、はらはらと舞う花弁、ほころびかけた蕾を作家が壁紙上に描き、その作品を正面の壁に貼り込み、壁面を一体の画面とした作品として展示いたします。また、その他の壁面には、桜や季節を主題とした絵画作品を展示予定です。

島田由子は、日本画の伝統を基盤にしながら、襖絵を中心に現代の住空間と鑑賞体験の融合を見据えた表現に取り組んできました。作品の多くは、伝統的な素材の持つ特性を生かし、儚い草花を線と余白を通して描いたものです。本展では、その実践を壁という形式へと広げます。

近年、欧米のインテリア分野では、アーティストによる壁面ペインティングや、絵画的なイメージをもとに制作されたウォールペーパー・ミュラルが取り入れられています。本展は、そうした空間表現の動きも視野に入れながら、日本の襖絵の実践を現代の壁面へと広げる試みです。


♦♦♦アーティスト・ステートメント♦♦♦

私は、襖絵の制作を中心に、室内空間のための絵画を制作してきました。
襖絵に限らず、屏風絵、壁掛けの襖絵、円形の絵画、小さな襖絵など、空間に合わせたさまざまな形態での絵画を提案してきました。

そうした制作の流れの中で、本展では初めて「壁紙」という形態での作品を発表します。空間の背景として、暮らしの中に穏やかさや晴れやかさを添えること。その思いを手仕事に込めながら、これまで襖絵として培ってきた意匠や表現を、現代の空間における「壁」という場でも生かすことができないかと考えました。

襖という形式にとどまらず、絵画が空間とどのように関わり得るのかを探ることは、私の制作において一貫したテーマです。壁紙という新たな形式を通して、絵画が鑑賞の対象であると同時に、空間の一部として静かに存在する在り方を提示したいと考えています。

この試みが、手描きによる襖絵の表現を、現代の空間へとひらいていく一つの可能性となれば幸いです。

島田由子


♦♦♦島田由子について♦♦♦

兵庫県出身、千葉県在住

1983 金沢市立金沢美術工芸大学日本画専攻卒
1988〜2019 襖加工会社にて手描絵柄およびデザイン担当
1991〜2005 元日本南画院理事である一色春輝先生に師事
1998 「襖絵師 島田由子」として屋号取得
2024年度 千葉県伝統的工芸品に指定
手描襖絵・屏風・襖掛絵・障壁画の受注制作活動、および作品展開催