今村遼佑の美術館では初の個展となる「残響と余白のなかで」を開催いたします。今村は、日常の出来事や記憶をモチーフに、身の回りのものを用いたインスタレーションや立体、絵画、映像など多様な表現形式で制作するアーティストです。2007年に京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を修了後、資生堂ギャラリーでの「第5回Shiseido art egg」(2011年、shiseido art egg賞受賞)、「ヨコハマトリエンナーレ2011―OUR MAGIC HOUR —世界はどこまで知ることができるか?」(2011年)への出品、ポーラ美術振興財団の助成によるワルシャワ(ポーランド)滞在(2016年)、京都市芸術新人賞(2020年)など、京都を拠点に国内外で発表を重ねています。

 今村作品の特徴は、空間や作品に仕掛けられたささやかな仕掛けを通じて、日常に潜む感覚を研ぎ澄ませる空間にあります。鑑賞者は、微かな光や音、香り、色を通じて、日常に潜む感覚や記憶を想起させられます。展示会場の建築や風景さえも作品の一部となるような詩情を喚起する空間は、どこからが展示で、何が作品なのか、表現と日常の境界を静かに揺さぶります。

 本展では、コンサートホールとして建てられた大地館の空間で行われたピアノの調律音と別の場所で録音された環境音を合わせた新作インスタレーションを中心に、オブジェや映像、ドローイングを交えて構成されます。音が消えていく残響や文字のない余白が音楽や言葉の余韻を響かせるように、日常と展覧会のあいだにある残響と余白をゆっくりとお楽しみください。