ある小春日和の日。
フェンスに絡まる蔦のあいだで、
一匹の青虫が光を浴びて揺れていた。
半透明のからだがあたたかな朝日に透け、
次の葉を探すように、静かに、楽しげに。

密やかで美しい一瞬。

Hesychia
まっさらな静寂の中で。-永宮陽子


大阪に生まれ、現在も関西を拠点に制作を行う永宮陽子(1973-)は、長年フリーランスのイラストレーターとして国内外で活動してきました。1997年よりそのキャリアをスタートし、欧米を中心にラグジュアリーブランドやホテルへ作品を提供するほか、広告、雑誌、パッケージデザイン、空間装飾など、視覚文化における広範な領域で実績を重ねてきました。
こうしたイラストレーターとしての実践は、現在の制作における基盤となっています。とりわけ、繊細で軽やかな線の扱いにはその特性が顕著に現れており、対象を強く規定するのではなく、輪郭や気配をとどめるような表現が一貫して見られます。
近年作家としての制作を開始し、「ゆっくり、軽やかに歩く」という自身の感覚を手がかりに、日常のなかで足を止めた際に立ち現れる身近な光景や感覚をモチーフとし、それらを簡潔なイメージとして提示しています。
本展は、作家が制作に意識的に向き合い始めて以降、描きためてきた作品群によって構成されます。軽やかなイメージの積み重ねのなかに、今後の展開へとひらかれていく契機を見出すことができるでしょう。


永宮 陽子(Yoco Nagamiya)
1973年大阪府生まれ
1997年よりフリーのイラストレーターとして、国内外で活動。
欧米を中心に、ラグジュアリーブランドやホテルへ作品を提供。広告、雑誌、パッケージデザイン、店内装飾などを手がける。
「Calme」 (Rocket Gallery/東京、2004)、「 En Plein Air」(PICT Gallry/大阪、2007)、「Sillage」(Gallery SPEAK FOR/東京、2015)他。