広島市現代美術館が位置する比治山は、かつて広島湾に浮かぶ島でした。縄文時代の遺跡である貝塚の発見は、この地が人々の往来や憩いの場であったことを示しています。貝塚にはじまり、近代の歴史や被爆の痕跡、文化施設の集積を経て、現在は平和を祈る場としての側面も持ちながら、比治山には多様なレイヤーが折り重なっています。また、山路商や浜崎左髪子をはじめとする作家たちもこの地に触発され、独自のまなざしを向けてきました。
本プログラムでは、比治山の地勢・歴史・記憶を手がかりに、この場所に内包された多層性をあらためて読み解き、可視化することを試みます。比治山の砂や土を用いた画材づくりや、匂いや音を収集するワークショップ、さらに比治山に精通した方々とともに行うフィールドワークなど、参加型の実践を通して、多感覚的なアーカイブの構築を目指します。こうした実践を点として蓄積し、それらのあいだに潜む関係性を線として結び直すことで、比治山を新たな創造的対話の場として再発見していきます。

出品作家(※順不同)
山路商、浜崎左髪子、入江早耶、井上尚子、亀川果野、ウエヤマトモコ、土居辰彦、SATOMACHI、安部泰輔