HOSOO GALLERY
- 更新日
- 2025年10月15日
604-8173 京都府京都市中京区柿本町412 HOSOO FLAGSHIP STORE 2F
開始日:2025年11月13日
終了日:2026年03月08日
10:30–18:00(祝日・年末年始を除く)
元禄元年(1688年)、京都・西陣において創業以来、革新的なテキスタイル制作に取り組むHOSOOは、世界的に活躍するアーティスト、カールステン・ニコライ(Carsten Nicolai)とのコラボレーションによる新作インスタレーション「WAVE WEAVE(ウェーヴ・ウィーヴ)」を公開します。本展は、映像作品《WAVE WEAVE》と織物作品《SONO OBI》という二つの相互に関係する作品で展開されます。
カールステン・ニコライ(1965年旧東ドイツ・カール=マルクス=シュタット(現ケムニッツ)生まれ)は、世界的なトップアーティストであると同時に、坂本龍一との数多くのコラボレーションでも知られるアルヴァ・ノト(Alva Noto)として活動する電子音楽家です。旧東ドイツの織物産業の中心地に生まれ育ったニコライは、1940–60年代に制作された1,000点以上の織物の紋意匠図のコレクションを所有するなど、長年、織物の技法や、その起源に強い関心を寄せてきました。
ニコライは、西陣織における伝統技法と西洋の現代的な技術の融合に注目すると同時に、「織機は宇宙創造の象徴であり、個々の運命が織り込まれる構造体である。多くの文化において、時間そのものが織られてきた」と述べています。織物が時間を内包する媒介的存在であることから強いインスピレーションを得て、今回の斬新な新作の制作を行いました。本展は、以下の2作品で構成されます。
《WAVE WEAVE》
HOSOOの織物工房内の風景や織機を中心に、ニコライ自身のディレクションで考えられる限りの緻密さで織物のディテールを実写撮影・編集し、オリジナルの電子音響をシンクロさせた短編映像作品です。HOSOOの織物技術を最大限に応用したオーディオ・ビジュアル・インスタレーションです。
《SONO OBI》
電子音楽をソノグラム(超音波によって得られるいわゆるエコー画像)に変換し、それを織物として構築することで制作された作品です。実物の「帯」でもありながら音楽のアーカイブでもあり、音楽表現の新たな地平を開きます。
本展において、電子音楽と物質である織物を、有機的かつデジタル技術の視点で結びつけることにより、視覚、聴覚、触覚などの多様な感覚を横断する新たな音楽表現を提示します。こうして生み出された2つの新作インスタレーションは、伝統と革新を往還しながら、染織文化を現代的なアートとテクノロジーの視点から再考する手がかりとなることでしょう。