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アートピクニック ON THE WEB 3 廣瀬智央

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今回ピクニックをしたい場所

週末を利用してイタリアのトスカーナの田舎

――すばらしい! 私はこれまでに行ったところで、最も素敵な休暇だったのがトスカーナです。ミラノからトスカーナは列車? または車で行きますか?

ミラノからトスカーナまでは、約300kmぐらい離れています。車で3時間ぐらいかかるのですが、イタリアの高速道路は整備されているうえ、空いているのでそんなに遠くに感じないのが不思議です。やはり、荷物をトランクに詰め込んでオープンカーで140kmぐらい飛ばして行くというのがいいでしょう。日射しが強いので帽子とサングラスを忘れずに持ってきて下さいね。


――美しい田園風景が続きますねぇ。よく行くのかしら? トスカーナでも特に行きたい場所はありますか?

1991年の夏に約2カ月ほどトスカーナのモンテプルチアーノという街に住んでいたことがあるのですが、それ以来、仕事、プライヴェートなどで1年に2〜3回は通っています。特にシエナからモンテプルチアーノ、オルビエートの街までの道が格好のドライヴ・ルートです。乾いた大地と緑の絨毯、起伏ある丘、一本杉、ワイン畑、点在する農家、天高く広がる空……素晴らしい風景がつづきます。途中気が向いたところでランチ! そういえば天然の温泉もあります。これが野趣満点ですごいですよ。と、いうことは水着も忘れずに。

時間(大体で)

初夏のお昼頃。12:00から夕方6:00ぐらいまで


――さすがに見事なプランです。久しぶりに本格的で健康的なピクニックになりそうなので楽しみです。

天気(お好み)

曇りのち晴れ

連れて行きたい仲間

気のあう友人などみんなで

――よかったらどんな人たちなのかご紹介ください。

学生時代からのイタリアの友人、ジャンニ・カラヴァッジョ氏とガールフレンド他。ミラノで「ミクロボエロティコ」というノンプロフィット・アクティビィテーの仲間たち。ほとんどがアート関係。妻。インタヴュアー嘉藤さん。

好きな食べ物/飲み物(ピクニック用)

ワイン、ミネラル・ウォーター、生ハム、サラミ、サラダ、フルーツ、トスカーナ・パン

――グルメな廣瀬さんのメニューがかなり楽しみなのですが、やはり食材が違うんでしょうね。何を食べても美味しそう。トスカーナ・パンってどんなパンですか? ワインはキャンティですか? ミネラルは、ハーフガスのやつ(赤のラベル)ですか? 体にいいってイタリア人はよく飲んでますよね。
ちなみに廣瀬さんの日常の食生活は、やっぱりイタリア料理でしょうか? 奥さんの手料理がほとんど? いろいろ根掘り葉掘り聞いてごめんなさい。私も食べ物は興味あって……特にイタ飯は。

私は決してグルメではないのですが、どうせ食べるなら美味しいものを! という発想です。イタリア料理は食材が命。そうした意味では日本料理に近いと思うのです。遠いようで近い? 以前、イタリアでも1、2を争う素晴らしいワイン造りをするワイナリーに遊びに行ったときのこと。そこのオーナーは何しろ頑固で自分の目指すもの、人生感など非常にしっかりしたヴィジョンの持ち主でした。だからこだわりのワインもとびきりなのです。そこのワイナリーで昼食をごちそうになったのですが、トレヴィーゾという紫色のチコリみたいな野菜にオリーヴ・オイルと塩、胡椒しただけのシンプルなサラダがえらく美味しかったのです。最初はなんだか雰囲気のせいかなあと思っていたのですが、わざわざ取り寄せていたものだと聞きました。この野菜はトレヴィーゾという地域原産のものがオリジナルで(それゆえトレヴィーゾと呼ばれます)、そこの土と気候、栽培方法が独特の美味しい野菜を育むらしいのです。今まで食べていたトレヴィーゾと呼ばれるものとは、似ても似つかぬ味にびっくりしました。よくある話だといえばそうなのですが、この時以来、見た目は同じ野菜でもそのプロセスによって全く違うものになるというのを改めて学びました。アートもしかりだと。話しがそれましたが、トスカーナ・パンというのは、トスカーナ地方のパンで塩だけで焼いた長期保存ができるパンで、ハムなどと相性がいいのです。
ワインは地元のキャンティにして、ミネラル・ウォーターは赤ラベル・ハーフガスにしましょう。私の日常食は、イタリア料理からエスニック系、日本料理まで雑食です。でも、パスタと御飯は2日ごとに食べます。僕も気が向くと台所に立ちます。特に好きな食べ物は、キノコです。イタリアには日本の松茸みたいな存在のポルチーニと言うキノコの王様がいます。同じ菌類のトリュフもおいしいですね。ただ香を楽しむという何とも贅沢な食べ物ですが! アートです。


ピクニックに持っていくもの

カメラ、毛布、本など

――ミラノに住んでいるきっかけは?

最初は奨学金をもらって91年からトリノに住んでいました。なかなか雰囲気のある街で、暗くてちょっとスノッブな感じ。その後学校を移ることになり、92年にミラノに引っ越しました。トリノよりミラノの方がオープンな印象があります。

――アーティストにとってミラノ生活(一般的にイタリアでも広く海外在住でも)はどうでしょうか?

楽しいですね。刺激的。日本にいても悪くないのでしょうが、私はいろいろと旅し、移動するのが好きです



 
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