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Recommendation
東京  荒木夏実
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exhibitionビバリー・セムズ展

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ビバリー・セムズ展

 ゴージャスな黒のベルベット・ドレスが壁に掛かっていて、その袖がどこまでも長く床に伸びている。1本10mくらいの長さの袖が何本も結びつけられており、延々と連なっているのである。床は黒い袖の迷路のようだ。何とも異様で美しい光景!袖がどこまでも伸びるというちょっと怖い現象は、同時に機能から解放された布地の作るファンタジックな世界でもある。女性とか身体性などといった枠組みを突き抜けた、自由で痛快な作品に出会うことができた。
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「ビバリー・セムズ展」
会場:ザ・ギンザアートスペース
会期:2000年1月21日(金)〜2月20日(日)
問い合わせ:Tel. 03-3289-8204

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exhibition猫演劇フェスティバル

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 今旬の若手3劇団を集めてリレー形式で3つの芝居を一度に見せるという企画。劇団名の「猫」つながり(もっとも、拙者ムニエルは今回用に頭に「猫」をつけたといういい加減さだが。)で通称「猫フェス」というわけ。小劇場系の芝居に馴染みのない人にはほとんど意味のない企画かもしれないが、その筋では結構話題を呼んでおり、雑誌にもかなり取り上げられた。250席は全日完売、立ち見が出る日もあったほどの盛況ぶりであった。個人的な感想としては、各劇団の色も実力もバラバラで、3つを同時に見せる必然性には少々疑問を感じた。特に私のひいきの「猫のホテル」は劇団員のキャリアが長いこともあって他の追随を許していなかったと思う。やや企画倒れ、だが企画のアイデアはすごく良くてそれゆえ注目も浴びた…といったところか。試みとしてはイケテる。
 それにしても、決して万人受けする内容でないのに若者たちが連日劇場に押し寄せる様子を横目で見ながら、なぜ現代美術だとこうはならないのか、と少し寂しい気持ちになる。
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猫演劇フェスティバル「猫演劇フェスティバル」
会場:三鷹市芸術文化センター・星のホール
会期:2000年2月19日(土)〜27日(日)
出演劇団:猫・拙者ムニエル 猫のホテル 猫ニャー
問い合わせ:Tel. 0422-47-5122

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exhibition荒木珠奈展「遠くで永く」- Eterna a lo lejos -

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荒木珠奈展「遠くで永く」- Eterna a lo lejos -

 床に置かれた巨大な糸玉から、くさり編みされた赤い糸が床や天井まで張り巡らされている。糸の先には木製の椅子や家が結ばれている。さりげなく、しかし丁寧に考察し制作された作品を発表してきた若手作家荒木の新作展。今回のダイナミックなインスタレーションには強烈なインパクトと同時に軽やかさがあり、押しつけがましいところがない。心の温度を少し上げるような、彼女独特の世界が繰り広げられている。
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荒木珠奈展「遠くで永く」- Eterna a lo lejos -
会場:東京国際フォーラムBブロック1F・エキジビション・スペース
会期:2000年2月18日(金)〜3月26日(日)

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exhibition「表出するイメージ:和紙を通した現代美術の表現」

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 「和紙」という言葉からは工芸や日本の伝統といったものが連想されがちであるが、本展ではこのような概念から離れ、純粋に素材としての特質に着目して和紙を表現に用いる4人の現代美術作家の作品を紹介する。和紙に写真を焼き付ける青島、和紙のパーツを複数天井から吊る扇、バケツや椅子などの形をキャスティング(型どり)する本間、ユニークな立体物を作る服部。全く異なる表現を行う彼らの作品を通して、和紙と美術の新たな関係を探る。
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表出するイメージ「表出するイメージ:和紙を通した現代美術の表現」
会場:三鷹市芸術文化センター・アートスタジオ
   三鷹市上連雀6-12-14 (0422-47-9100)
会期:2000年3月4日(土)〜26日(日)
出品作家:青島一成 扇千花 服部俊弘 本間かおり

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report学芸員レポート[三鷹市芸術文化センター]

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学芸員雑感
 
  Highleg Jesusという過激な演出が話題の劇団を率いる河原雅彦が、今の演劇界について以下のようなコメントをしている。「……大袈裟に言っちゃえば時代の空気読む気ゼロなの演劇人て。マイナーなのにマイペース。演劇やってる自分に漠然と甘えてんのな。そこいくとロックなんかはキッチリ闘ってるから。[演劇は]20年は遅れてるね、メンタリティにおいて。……」
 同じことが(というか演劇よりずっと遅れていると思うが)日本の「現代美術」といわれる世界でも言えないだろうか。マイナーであることに逃げ込んで甘えが蔓延していないか。私はアーティストや美術関係者の口から驚くほど時代遅れな発言(それは会話を成り立たせないほど乱暴な右翼的発言やsexist的な言動であったりする)が出てきて唖然とすることが少なくない。一人称でしかものを語らず人の話に耳を傾けなかったり、社会性の欠如を個性と勘違いしている無根拠な自信家や、またあまりにも覇気のない人にも会う。ここはお山の大将、自閉症の集まりなのかと思うと気が滅入る。
 巷の人々は、映画やロックやファッションについては自分の好みや感想についてあれこれ語り合う。小気味の良い評論も多い。一方「同時代」であるのにアートは社会から隔離され、それゆえ厳しい批判にさらされることもない。「自称」アーティストや評論家も生きていける。美術内美術に逃げ込んだクールでない人たちが闊歩しているそんなダサい現代美術に人は惹かれないだろう。
 今の社会を生きる人間としての知性とイマジネーションとコミュニケーション(それと最低限の「マナー」)。世間から無視されたマイナーで非常識な場所という現在の状況を打破するために、こんな当たり前のことが現代美術の世界には必要なのではないか。

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