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香川  毛利義嗣
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exhibition大竹伸朗ワークショップ −既景 既にそこにあるもの−

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大竹伸朗「網膜#39(投げ縄)」1990-91 高松市美術館所蔵
大竹伸朗「網膜#39(投げ縄)」1990-91 高松市美術館所蔵

 エッセイ集『既にそこにあるもの』(新潮社)のピンと張りつめた清明な文章にヤラレた人は多いと思うが、その大竹氏のワークショップである。彼は近年、「あいまいで私が日本」「日本景」といった展覧会タイトルにも見られるように、“日本”をモチーフにした作品が多くなっている。といって最近よくある「私たちの文化を見直しましょう」的な甘えたところはまったくなく、むしろ徹底して“日本”を離れた時にのみ見出される風景、というようなものを描いているだろう。逆にいえば、これまで彼が外国の素材を用いて作った作品も、どれだけ“かっこいい”外観を見せていたとしても、それが心地よいエキゾティズムに流れることは決してなかったはずだ。“異国情緒”でなく“異国”を描くこと。その対象が自国であればなおのこと、自らの“日本”を多く捨て去ることが必要であろうし、そのことが彼の近作に高い緊張感を与えていると思う。
 今回のワークショップでは、具体的には参加者に雑誌とかチラシとか何か印刷物を持ってきてもらい、それを切り貼りしたり塗ったり交換したりしつつ、いくつか“本”のようなものを作る、予定。大竹氏はこれまでワークショップを行ったことがほとんどないそうだが、どんな展開になるか予想できない分、むしろ楽しみでもある。定員が少ないので、申し込みはお早めに(3月11日以降)。ちなみに、青山のセゾンアートプログラム(http://www.smma-sap.or.jp)でこちらも「既景」というタイトルの個展が開催されている(3月18日まで)。


95年から96年にかけて日本の様々な地方を定期的に回って描きためた絵で、昨年「ZYAPANORAMA 日本景」という展覧会を東京でやりました。その後、漠然と「既景」といった単語がいつしか頭に浮かび出しました。それを一言でいい切るのはとても不可能なのですが、あらゆる領域において、人が手を加えようが加えまいが、人々の内面をも含めた上で、ふてぶてしく「既にそこにある風景」といった意味合いを示すものです。そのあたりをスライドやビデオを使って皆さんと色々話をしながら、短時間ではありますが何かご一緒につくることができれば、と思っています−
大竹伸朗

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大竹伸朗ワークショップ −既景 既にそこにあるもの−
会場:高松市美術館(香川県高松市紺屋町10-4)講座室
日時:A−3月19日(日)  10時〜16時
   B−3月20日(月・祝)10時〜16時
定員:各20名(先着順 中学生以上)
参加費:1,500円(材料費別)
申し込み:3月11日(土)9時より受付。参加費をそえて美術館1階受付へ。電話申込可。
問い合わせ先:tel. 087-823-1711/1730

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exhibition実験音楽&雑音学会

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 丸亀はうちわの産地で、全国のうちわの大部分がここで作られているらしいが、それと実験音楽とは別段深い関係はない。がとにかく、そのミュージアムの小ぶりな円形状のホールで今回の音楽会が行われた。出演は、フランスの音響ユニットTOY BIZARRE、東京からはノイズユニットMSBR、隣県の愛媛から即興音響ユニットJungle Jam、といったメンバー。100人近い満席の観客(ノイズファンがなぜこんなに丸亀近辺にいるのか謎だが)に囲まれて演奏は続けられた。
 さてその中でJungle Jamは、アコースティックのフルート1本というなかなかに過酷な条件を自らに課し、ややエリック・ドルフィーを思わせるような、といってもはるかに雑然かつヘロヘロとした音の断片をまきちらしながら、20分間を悠々と吹き通した。彼はプロのミュージシャンではない、どころかフルートを手にしてまだ1年もたっていない。個人名を福西哲唯という50がらみのこの男性は、松山のプライベートミュージアム・エスパス21のディレクターであり、80年代関西を中心とした現代アートのコレクターであり、また本業は別にあって家で米屋をしている。というと何だか変な趣味人のように聞こえてしまうが、実際にはその演奏は趣味的なところはほとんどなく、「でもやるんだよ」的な濃さが、技術の不足とは無関係に伝わってしまっていた。確かに、どんなに技術が高くても結局のところ予定調和に落ち着いてしまう多くの演奏に比べれば、まあ好き嫌いは激しくあるにしても、はるかにスリリングな体験ではあった。後でTOY BIZARREのCEDRIC氏が、彼はもっと長く演奏すべきだったと言っていたのもどこか納得できるし、自らの音について他の演奏者とアツく語っているJungle Jamを見ながら、何につけプロだのアマチュアだのと中途半端な自意識などまったく無意味だと、マジ思った。
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実験音楽&雑音学会実験音楽&雑音学会
会場:うちわの港ミュージアム(香川県丸亀市)
日時:2月19日(金) 19時30分〜
問い合わせ先:梅谷 tel. 0877-22-3566
URLインフォーメーション:http://msbr.com/new/nlive.html

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