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香川 毛利義嗣
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exhibitionポラロイド・コレクション アメリカ 写真の世紀展

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ポラロイド・コレクション
 展覧会自体は香川とは特に関係ないが、企画や図録編集に私が多少参加したこともあり、また来年の6月には高松市美術館でも開催される予定なので少し紹介を。
 「ポラロイド」は今、インスタント写真の代名詞のようになっているが、その創設者エドウィン・ランドがインスタント・カメラを発明したのが1947年。この新しいシステムは多くのアーティストが好んで使用するものとなり、その利便性や即興性、またフィルム自体のマチエールによって、写真というメディアの可能性を一段と拡大することになる。ポラロイド社もまた積極的にアーティストたちを支援し、共同作業を行うことによって、23000点におよぶ現在のコレクショが生み出されたわけだが、今回はその中から79作家159点の作品を選んで展示している。
 さて、この展覧会のタイトルは上に表記したとおりだが、キュレーションを行った笠原美智子氏が当初出していた案は「良くも悪くもアメリカ」というものであり、作品のチョイスは事実上この裏テーマに沿ったものとなっている。つまり、今世紀(特に後半)の写真表現におけるアメリカの輝かしい功績のみに焦点を当てたものではなく、それらの表現の内に認められる「アメリカ」の暗い側面も同時に提示するという認識である。造形的表現だけでなく、言語、文化、経済、政治まで強力な主導権を保つこの巨大な国家が作ってきた社会的構造を、写真という今世紀を特徴づけるメディアにおいて再検討すること、表現における広い意味での政治性への意識を喚起させることが意図のひとつとなっている。具体的にいえば、例えばちょうど今、高松市美術館で「ロバート・キャパ賞展」が開かれている。そこには賞に選ばれた数十人のフォト・ジャーナリスト、ドキュメンタリー・フォトグラファーの写真が並んでいるのだが、見る人はどうしてもそれらの写真が直接指し示しているストーリー(戦争、飢餓、病など)にまず注意を払ってしまう。しかし同時に、撮影者たちが属しているストーリーは何であるのか、どうしてそこに向かったのか(各々の個人的な経緯のことではない)、なぜそれらの写真がここでこうして流通しているのか、といった点に注意を向けること。これはもちろん作品を見る際の目的ではなく、むしろ出発点といった方がいいかもしれない。
 また、このポラロイド展には、これまで日本ではあまり紹介されていないアーティストの作品も多く含まれている。私たちが「アメリカは」というような話を行う場合(「日本は」という話も同様であるが)、非常に抽象的な「アメリカ」イメージを念頭に置いてしまっていることがしばしばある。そうではなく具体的な事象を細やかに見ていくことが必要なわけだが、「アメリカ」における様々な揺らぎがそれらの作品の中に見出せるであろう点、興味深い構成になっていると思う。

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会期:2000年9月12日〜11月12日
会場:
東京都写真美術館  東京都目黒区三田1-13-3
開館時間:10:00〜18:00(木・金のみ20:00まで 入館は閉館の30分前まで)
問い合わせ:Tel. 03-3280-0031

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report学芸員レポート [高松市美術館]

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しびのーと(高松市美術館ボランティア通信)創刊のことなど

しびのーと
『しびのーと』10月創刊

 レクチャーやミーティングなど約8ヶ月の準備期間を経て、高松市美術館ボランティアによるギャラリー・トークが昨年の秋から行われており、すでに一定の成果が現われてきていると思う。それをふまえた上であえて課題点をあげれば、まず基本的なこととして、特に公立美術館の場合、ボランティア活動に対して本来的な意味での独立性や自主性をどれだけ本気で期待しているのかという点が不明瞭であるということ。これは各館の性格や各担当者の意識の問題というよりも、行政における現行の美術館制度という枠組み自体が持つ問題点だろう。また、このことに関連するが、なぜボランティアを必要とするのか、どういった人をボランティアとして採用するのかから始まり、美術館でのボランティア組織の立場、活動に際しての関与の多寡といった色々な側面において、ボランティア各人と、行政あるいは美術館、担当者、観客、それぞれがイメージする理想形に当然ながらズレがあり、そういった様々な欲望を具体的にどのようなシステムによって方向づけていけばいいのか、を引き続き模索していく必要があるということだろう。
 さて、この10月には「しびのーと(civi note/civiとは高松市美術館ボランティアの名称)」というパンフレットが発行される運びになった。美術館ボランティアと一口にいっても館によってそのシステムは様々だし、これまでの蓄積が少ないだけに試行錯誤しながら行っている部分が大きいだろうが、こうした印刷物の定期的な発行によって互いの活動の経験をある程度共有化できれば、今まで以上の活性化が期待できるのではないかと思っている。

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