Editor's Column
Editors' Column ||| コラム
home
home
column
行楽気分で楽しむ秋のアートウオッチ
――おすすめスポット一覧

11月3日の文化の日を含む秋の行楽シーズン第2弾の連休を使って行楽を兼ねたア ートウオッチに出かけることを提案したい。芸術の秋に先駆けて、アートの鑑賞の心得 を前回お送りしたが、今回は、予習なし、飛び込みOKの行楽気分をメインに出かけ て行って楽しめるスポットをいくつか御紹介したいと思う。

●パリまで飛行機に乗って出かけて行かなくても、ポンピドー・センターの作品が出かけて来てくれた。"すごい絵がいっぱい"の「ポンピドー・コレクション展」(東京都現代美術館にて12月14日まで)を堪能する。

●先のMOTの古郷、上野の森を散策して晴れた秋の日を楽しむのはどうだろう。文字 どおり上野と谷中間をアートで結ぶ「ART-LINK上野――谷中'97」は11月3日まで開催される。A5サイズ、8ページのガイドを入手すれば、どこで何をやっているのか一目瞭然。1日から3日までの連休に限って紹介すれば、以下のプログラムが予定されている。

(1) 「眠れる森の美術――赤瀬川原平中村正人」展
ギャラリーツアー
日時:11月1日14時から16時 上野の森美術館に集合
問い合わせ:03-3833-4195

(2) 「赤塚不二夫」展(上野の森美術館)
対談&ジャズ演奏
日時:11月1日、ゲスト 坂田明、中村誠一
問い合わせ:03-3833-4191

(3)M in M Project「博物館動物園駅の進化と再生」
パフォーマンス
日時:11月2日15時から(予定)
会場:博物館動物園駅構内および周辺
問い合わせ:03-3823-0901 上野の杜芸術フォーラム

●メールソフトとして話題を呼んでいる「ポストペット」の発売直前の展覧会〈PostPetEX〉(NADIFF、展覧会は19日まで)では、開発メンバーであるメディア・アーティスト八谷和彦が出席し、明和電気をスペシャルゲストにギャラリートークを11月1日18時から20時まで開催する。
問い合わせ:03-3403-8814

●東京を離れてちょっと遠乗りしたい諸子の方々には以下の場所を。
(1) 場所は郡山、ゴルフ場脇に建つ『現代グラフィックアートセンター(CCGA)』。
大竹伸朗の個展を11月30日まで開催中。テントに使用されるビニール系の布、ターポリンにミケランジェロの名称を持つ印刷機で、オリジナルの版画をさらに拡大した迫力ある大画面の作品が展示されている。会場の中央には、版として立体作品も展示されている。
問い合わせ:0248-79-4811
[余談になるけど、先のNADIFFに出かける選択をした場合は、大竹伸朗がアトランタ オリンピック組織委員会およびオリンピック文化機関の招聘でアトランタに滞在しネ クサス・プレス社で制作したアーティストブック〈アトランタ 1945+50〉を是非手 に取ってみてほしい。全く同一のものがない1000の本はオリジナルにかわらぬ強 さと魅力を持っているレアもの]

(2)場所は温泉で有名な伊香保、牧場に隣接して建つ『ハラ ミュージアム アーク』。
「ヒーリング考――みること・いやされること」(1月4日まで)は原美術館のコレクショ ン展。ちょっと興味を引かれるのが、鳴海暢平による関連プロジェクト「嗅景(きゅう けい)Indirect Medicine」だ。内容は、犬の視線(犬の頭にビデオカメラと振動でシ ャッターが切れるデジタルカメラを取り付けている)が捕らえたビデオテープの連続 上映と写真のパネル展示。(昨年の夏のアトピックサイトの会場では、本人も犬も居て歓迎してくれた) 。
問い合わせ:0279-24-0449

(3)場所は京都の山崎。サントリーの山崎を思い浮かべる方も多いと思うが、その場所とは山のあっちとこっちの位置関係にある『アサヒビール大山崎山荘美術館』。リーフレットにも「やすらぎの庭園美術館」とあるように、2階のテラスから桂川、宇治川、木津川の三川を展望しなが喫茶する一時は結構和める。もちろん、山本コレクションと安藤忠雄が設計した新館の「地中の宝石箱」に展示されているモネ最晩年の傑作「睡蓮」はお見逃しなく。
問い合わせ:075-957-3123

●関西ネタは以下の3本

(1)国立国際美術館が企画する「戦後美術の座標軸 重力」(12月9日まで)。50年代から80年代前半にかけて探究された作品と重力の関係を4つのテーマ(1.水平の絵画、2.身体と位置、3.落下と着地、4.重量という原理)でまとめ、日米の約40人の作家による70点余の作品で構成される。
問い合わせ:06-876-2481

(2)阪神大震災で開催が延期になっていた、「阪神間モダニズム展」 (12月7日まで) が震災後1000日を経て阪神間の美術館4館共催で開かれたことは喜ばしい。
会場と内容は、兵庫県立近代美術館「美術家の挑戦」、西宮市大谷記念美術館「〈新時代〉の娯楽」、芦屋市立美術博物館(問い合わせ0797-38-5432)では「〈健康地〉のライフスタイル」、芦屋市谷崎潤一郎記念館(問い合わせ0797-23-5852)では「ハイカラ趣味と女性文化」となっている。

また、連休中のプログラムとして
11月1日、西宮市大谷記念美術館にて14時から河内厚郎による講演会『宝塚歌劇 ・芝居・音楽――舞台を巡るモダニズム』(問い合わせ0798-33-0164)。
11月2日、兵庫県立近代美術館にて14時から木村重圭による講演会『阪神間の日 本画家――華岳と摩起を中心に」(問い合わせ078-801-1591) が予定されている。

(3)10月25日から計5回の講座形式で開催される『現代美術て何?』(神戸アートビレッジセンター)の11月1日のプログラムstep3は500円で当日参加が可能。
一部の「こんなアートもあったもんだ!」は13時から15まで。ゲストは、菊池敦己( スタジオ食堂代表)、しばたゆり(アーティスト、モダンde平野主宰)、杉山知子(アーティスト、C.A.P.代表) 。
二部の「こんなアートとのつきあい方もあったもんだ!」は15時30分から18時まで。 ゲストは井上明彦、野々村文宏に、アートプロジェクト参加者を交えた構成。
問い合わせ:078-512-5500

といった具合で、まさに芸術の秋たけなわ。
秋の夜長にどこを訪ねるかを思案することにしよう。
森 司(nmp監修者)

top
review目次review feature目次feature interview目次interview photo gallery目次photo gallery





Copyright (c) Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1997