「読んでますよ」と寄稿者の一人が言われた、と告げてくれた。嬉しいことだ。これからも多くの読者の方々に興味をもってもらえるページ作りを心がけていきたい。1998年1月からの新シリーズの企画内容も固まりつつあり、そして何よりも、かねてから開発準備を進めてきていた<コンテーナーシップ>の本デビューの日取りも間近な段階になってきた。快適に見ていただける環境が用意できしだいアップしたいと思っている。
<継続は力なり>で計画当初には思いもよらなかった様々なことがらに対応しながら、ページ運営に関する知恵がありがたいことについてくる。目前の課題の具体的な回答を探る行為が、だんだんとノウハウになっていく。例えば、WHO'S WHO のホルダーがいっぱいになってきた。何もこれに限ったことではないが、データを増やしデータベース化する気持ちがプログラムの中に組み込まれていたとしても、データ処理や管理のレベルからの方法論を持っていたわけではない。最初から膨大な情報をどのように管理すべきかの視点から、システムを考案している事例を紐解いて参考にさせていただくのが早道だ。そこに辿り着いたとき、文化庁が推進する文化財情報システムと共通索引システムのことを思いだした。これまでは、国が管理する美術館・博物館系に限られていた実験であったので、知ってはいたが一つの動向として理解していただけであった。
が、97年10月21日、パシフィコ横浜で開催された「文化財情報システムシンポジウム」(主催:文化財情報システムフォーラム、日本経済新聞社 特別協力:文化庁)の席上で、門戸が開かれ多くの文化施設に参加を呼びかけている段階にあることを知った。これからは広く参加を呼びかけていくらしい。この手の事業は、段階を追ってその都度新しいテーマが問題となる。断るまでもなく、著作権にまつわる判断と対応だ。総論での合意が形成されれば、具体的なアクションプランの段階で個別に協議されてくのだとは思っている。
この「共通索引システム」はそもそも、美術品情報の集中管理構想が、インターネットが社会的インフラとして整備さえると判断されたことで分散化情報管理へと大きく軌道変更されたことを母胎とする。つまり、インターネット上でのWWWを使った検索システムを構築しようとする構想なのだ。そのときの約束ごとが、索引項目を共通化させることであたかも巨大な一つのデータベースが存在するようにしようとしたものだ。それだったら、エージェントと呼ばれる検索システムとどこが違うのか、疑問に思われることだろう。正直、私も先のシンポジウムでその1点を理解するつもりで聞くときまで、説明できるまでの理解を得ていなかった。
この「共通索引システム」の一番のポイントは、《1作品に1URLを付す》点にある。言い方を変えれば、ホルダー内に複数の作品情報を盛り込まないで、1作品の情報のみを1セットとしてパッケージ化し、それを1項目とする作業を旨とするシステムなのだ。習慣的に作品に関するフォルダーの中に、作品に関する内容はしまい込んでしまう。この習慣を、1作品1フォルダー=1URLにすればいいだけのことだ(現時点で文化財情報システムに参加する予定がなくても、将来を見越して準備しておくのは悪くないと思う。もっとも、著作権のおよぶ近現代の作品のデータ処理には情報をアップするまでにはさらに手間とコストがかかってくることは容易に想像できる。すでに文化財になった世界の作品のは無縁の問題だ)。なんと簡単なことだろう。
このプログラムの実質的な推進役を努められ、システム開発に寄与されている東京国立博物館情報管理研究室長、高見沢明雄氏に敬意を払いながら、応用転用させていただいて、増え続ける情報の編集の1方法として活用させていただこう。<継続は力なり>で、重くなりすぎたデータの書き換えや管理の問題に実感をもっている方には福音ではないだろうか。今頃になって理解できた私はそのように思っている。 |