reviews & critiques ||| レヴュー&批評 |
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『パシフィック・アジア・カルチュラル&ポストコロニアル・スタディーズ』会議 −今後のカルチュラル・スタディーズのグロバリゼーセションを示唆する貴重な会議 |
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毛利嘉孝 | |||
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7月3、4日の2日間、イギリスのエセックス大学で『パシフィック・アジア・カルチュラル&ポストコロニアル・スタディーズ』と題された会議が行われた。運営コミッティはエセックス大学のピーター・ヒューム、アンソニー・ウッドウィス、客員研究員としてエセックスに滞在している東京都立大学の本橋哲也ほか。さらにコーネル大学から酒井直樹、台湾清華大学から陳光興、サセックス大学からローラ・クリスマンがゲスト・スピーカーとして加わり、酒井、陳のプレナリー・スピーチ、パネル・ディスカッション、8つのワークショップが行われた。 この会議は、イギリスで初めて本格的に東アジアをテーマとして行われたカルチュラル・スタディーズの会議として歴史的な意義を持つことだろう。参加者は80名余り。各ワークショップでは、イギリス、日本、台湾、韓国、タイ等々の若手研究者のプレゼンテーションを中心に、コロニアル・ディスコース、ナショナル・アイデンティティ、ゲイ/レズビアン・セオリーといった個別のテーマの下、具体的には台湾の独立問題や従軍慰安婦のようなホットな事項までが議論された。 |
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カルチュラル・スタディーズとは何か
「カルチュラル・スタディーズ(以下CS)」という言い方は「ポストコロニアル・スタディーズ」と並んで、この2、3年の間に日本でも急速に定着してきた。既に『思想』や『現代思想』といった雑誌でも特集が組まれたこともあり、漠然としたCSのイメージは浸透しつつあるようにも見える。曰く、ポストモダニズム以降の欧米の「最新」の潮流。曰く、マイノリティからの視点による歴史の再読。曰く、「階級」を中心とした従来の「大文字」の政治に代わる「人種」「性別」といった「小文字」の政治の台頭……。 |
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非西欧圏へのCS導入とその意味を考える
酒井直樹の基調講演は、こうした認識に立ちつつ「理論」と「実践」の問題を取りあげたものだった。なぜ「西欧」のみが理論を生産しつづけ、「非西欧」はその「理論」の応用と分析・理解の対象となるのか? そこにはすでに「西欧/非西欧」の権力関係が書き込まれているのではないか? 我々はこうした前提そのものを問題にすべきではないか? |
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