reviews & critiques
reviews & critiques ||| レヴュー&批評
home
home
manga
マンガの国 日本−5
現代マンガは笑いをどう描いてきたか1
MANGA
go tchiei
呉 智英
この原稿は、マンガをめぐる日本の状況を海外に紹介する目的でnmp internationalのために書きおろされたものである。

笑いを目的とするマンガの名称

英語のComicがComedyと同源であり、「マンガ」の他に「滑稽な」という意味があるように、日本語の「マンガ」も元来は「漫画」であり、「軽妙な冗談の絵」という意味であった。すなわち、マンガは笑いを目的とした絵であった。戦後、物語マンガが大きく伸張し、笑いを目的とするマンガを圧倒するようになったけれど、今なお笑いはマンガの重要なテーマである。今回はこれを取り上げる。
笑いを目的とするマンガは、大略次のように分類されている。

●風刺マンガ:戯画、時評マンガ、政治マンガ、社会マンガなどとも呼ばれるもので、一コマが多く、時に数コマのこともある。
新聞や一般雑誌などを発表の場にしている。どの新聞にも必ず数作品が掲載されているにもかかわらず、この諷刺マンガが社会的話題になったことはここ30年ほど一度もない。ほとんどが旧世代マンガ家の手になるものである。

●ナンセンスマンガ:諷刺以外の笑いを描いた一コマから数コマのマンガ。風刺マンガこそマンガの王道であるという意識から、笑いのための笑いを描いたナンセンスな(くだらない)マンガという含意が込められている。ただし、一部では日常的な意味を覆すような笑いを描くマンガという含意で使われたこともある。いずれにしても、この用語も旧世代のマンガ家しか使わなくなった。

●ギャグマンガ:ギャグとは本来は、場当たり的に発せられる冗談の意味であるが、後述する1960年代後半の笑いの革命以後、笑いを目的とするマンガをギャグマンガと総称するようになった。

next
next

top
review目次review feature目次feature interview目次interview photo gallery目次photo gallery





Copyright (c) Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1998