さて、この連載はカルチュラル・スタディーズ(以下CS)の研究者に次々とインタビューをしていく……はずのものであったが、7月、8月とすべてホリデイに入っておりコンタクトは取れても「仕事は9月以降にしてくれ」という人ばかりで、最初の最初からインタビューはお休み。ごめんなさい。代わりといっては何だが、イギリスのCS関係者で注目を集めている動きがあるので、それをニュースとしてレポートしておきたい。
ロンドン大学のゴールドスミス・カレッジでこの9月からカルチュラル・スタディーズ・センターが発足する。もともとゴールドスミス自体、メディア論のデヴィッド・モーリーやダイアスポラ理論で知られるポール・ギルロイをはじめ、スチュアート・ホール以降のイギリスのアカデミズムのCSの一つの拠点だったが、今回のセンターの設立は、そうした枠をさらに越える物であり、70年代から80年代初頭にかけてCSの拠点だったバーミンガム現代文化研究センター(CCCS)の90年代版か? と期待は大きい。 |
グローバリゼーションを積極的に問題にし国際的CSのネットワーク・センターに
ディレクターに『ポストモダン社会学』で知られるスコット・ラッシュを迎え、メディア&コミュニケーションの教授としてアンジェラ・マクロビーが就任、さらには御大スチュアート・ホールまでがオープン・ユニバーシティの定年退職後何らかの形でセンターに加わることが予想されており、まさにCCCSの主要メンバーが勢揃いといった観になりつつある。
CCCSと今回の動きが異なるのは、バーミンガム時代が基本的にイギリス国内に限定されたものだったのに対し、今回の動向は80年代末からのアメリカ、オーストラリア、日本、台湾等々のCSの流行を経た後のことであり、必然的にグローバリゼーションを積極的に問題にせざるをえないことだろう。本センターは国際的CSのネットワークのセンターになることもまた期待されている。
ちなみに前回レポートしたパシフィック・アジア・カルチュラル&ポストコロニアル・スタディーズ会議も、今年はパシフィック・アジア・カルチュラル・スタディーズ・フォーラム(PACSF)として同センター内で運営される見通し。定期的にニューズレターも発行する予定であり、筆者も事務局の一員なので興味のある人は電子メールで問い合わせを。 |
Pacific Asia Cultural & Post Colonial Studies |
問い合わせ:Center For Cultural Studies,
Goldsmith College, London University, New Cross,
London SE14 6NW UK
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